※『人面獣身』のネタバレ込雑記になります。シナリオ未読の方は読まないようにしてください。
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(1)シナリオの発端
『インセイン』というシステムで初めてシナリオを作るにあたり、「何を題材にするのか」というのは割りと悩み所でした。折角【秘密】という魅力的なシステムがあるのだから、漠然とそれを活かした内容にしたいとは思っていました。
そんなある日、移動時間中にふらっと「都市伝説」について調べていたところ(何やってんだ)、人面犬の項目で面白い記事を見つけました。それは本編でも触れている「ロビスオーメン」という、ブラジルに伝わる人面犬と似通った怪物のこと。“噛まれた人間もロビスオーメンになる”というゾンビめいた設定と、“影に潜む”という都市(街)に即した能力を見て思い付いたのが本作です。
「一体しかいないと思っていた人面犬が実は複数体存在しており、その事を知らないPC間で認識のズレが生ずる」……という骨組みが出来上がってからは、割りとスイスイ書けたような気がします。
(2)NPCについて
・城宝谷……
街にて情報屋として生計を立てている胡散臭い男。名前もそのまま「じょうほうや」という、三下感溢れるキャラ。そういえば、三下という言葉は賭博において「3より下の出目では勝つ見込みがない」というところから来た言葉らしいです。これ、インセインにも当てはまりそうですね(笑顔)
さて、彼の正体はご存じの通り、人面犬騒動の黒幕であり、人狼に身をやつした魔術師です。「最初期から隣にいるキャラが黒幕」という構図は、単純ながらも【秘密】を調査していくインセインのシステムとは、とてもよくマッチしていると考えたため採用に至りました。それにあたり、「城のキャラ造形をどうするべきか」というのが重要なポイントでした。怪しすぎると面白みに欠ける、かといって清廉潔白な人物すぎると調査判定の対象にされにくい。色々と考えた結果、「剽軽で鬱陶しいチャラ男」という、なんとも言い難いキャラ造になりました。
最終的にPC1に復讐されて散ることが多いキャラだとは思いますが、GMは「表面上は少し抜けた風を装いつつ、裏では私利私欲のために他人を利用するサイコパス」というクセのあるロールプレイを楽しみつつ、黒幕としての城をプレイヤーに印象付けてあげましょう。
・乾勇治……
「最後の人面犬」にして、PC4の死んだはずの親友。恐らく、このシナリオにおいて一番良識のあるNPCですね。
先述の通り、「黒幕とは別に同一の怪異が存在する」という状況を作り出すために生み出されたキャラです。PCのハンドアウト別に言うと、PC1,5目線では「人面犬=城(悪)」、PC3,4目線では「人面犬=乾(善)」……という構図になっています。PC2は青春ラブコメです。
彼の見た目や態度により、PCたちが勘違いを引き起こすことにもなるのですが、その実態は何処までも「お人好し」な青年です。不器用な彼が最終的にどんな結末を迎えるのかは、プレイヤー次第です。見守りましょう。
なお、彼の名前は『仮面ライダー555』の二人のキャラから拝借しています。キャラ設定についても同作品の影響を強く受けていますので、暇な人は見ましょう(ダイレクトマーケティング)
・大岡瑠都……
オカ研部長と見せかけた唐突な魔女。シナリオ本筋とは関わりのない怪異です。名前は「オカルト」の捩り。「丘瑠都(おか ると)」という案も浮かびましたが、字面が弱そうだったので却下です(謎)
シナリオ本編で人面犬(人狼)の変異に関する内容まで盛り込むにあたり、普通の調査判定で判明してしまうと「情報屋の城の情報セキュリティが甘い」という、なんともやるせない(?)状況になってしまうと考え、彼女の力を借りることを思い付きました。結果として、意味深な占師イベントや、PC5との因縁といった要素を盛り込むことができ、シナリオの幅を広げられたと思います。
・三海芽衣……
警察内部において、未解決の怪奇事件を捜査している女刑事です。名前は「未解明」から。解明して。幼少期に大岡瑠都(魔女)と遭遇してトラウマを植え付けられたものの、「実際に相対したことのある自分が、怪異について調べなければならない」という責任感も抱くようになり、今に至るようです。
人質として拐われるヒロイン(?)にしては、キャラが薄いような気もしますので、GMが要素を追加しても良いと思います。ツインテールとか(それは無い)
なお、まず起こらない状況だとは思いますが、大岡瑠都と彼女が遭遇してしまった場合、彼女は腰を抜かして取り乱すことになるでしょう。泣き出してしまうかもしれませんね。
(3)HOについて
調査判定→調査対象が増えるという基本的な流れを踏襲しつつ、マスターシーンへの発展、特殊なゾーキング(魔女の瞳)等、冗長にならないように色々と仕掛けてみました。
城の秘密は些か手間のかかる内容ですが、気軽に他PCへ共有されてしまうと序盤からシナリオの仕掛けがばれてしまうため、それを防ぐための措置となっています。【居所】が渡るとなれば、迂闊に共有できませんからね。
PCの【秘密】については、繰り返しになりますが誤認トリックのような仕組みに仕上げました。プレイヤーには「特殊型」と伝えておいても面白いかと思います。
最後に。
ひとつずつ「確かな情報=【秘密】」を調査していく関係上、クトゥルフよりもシティシナリオは作りやすかったです。シーン制により各PCに活躍の機会が与えられるというのも大きいと思います。
協力型とも特殊型ともつかない妙な造りではありますが、群像劇のように各キャラ間の“繋がり”が出来上がっていくシナリオになったと思います。都市伝説を下敷きにした、時にファンタジーじみた様相を呈する群像劇を楽しんで頂ければ幸いです。
それでは、良きTRPGライフを